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インクジェットTシャツプリンター(ガーメントプリンター)導入8年の感想まとめ

インクジェットTシャツプリンターとは?

インクジェットTシャツプリンターとは別名で、ダイレクトインクジェットプリンター、ガーメントプリンターなどと呼ばれており、文字通り生地に直接インクジェットプリントする方法になります。

今回の記事ではTシャツプリンターと統一して書いていきます。
日本のメーカーでは、ブラザー、エプソン、武藤工業、リコーが有名どころで、海外ではイスラエルのコーニットというメーカーのプリンターが生産性や特殊性が群を抜いたプリンターがあります。(導入費用も群をぬいています)
プリント業界では、ブラザー、エプソンのどちらかを導入されているところが多いと思います。

私のTシャツプリンター歴

エプソン社のF2000は2013年11月の発売と同時に購入し、関西では5番以内の設置でした。転写プリントでは対応できないデザインや、表現豊かなプリントが可能になると感じ導入を決めました。

9年間使い倒した経験等からダイレクトインクジェットプリンターについて書いていきたいと思います。

Tシャツプリンターとはいえ、基本的な性質は家庭用のインクジェットプリンターと同じで、プリンターヘッドが左右に動きながら、生地を動かし印刷していくという構造です。(機種によっては動かし方が違う場合もあります。)

プリンターによってインクのカラー構成が異なったりしますが、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)のカラーインクが吐出できるようになっているため、写真をはじめイラストなどがフルカラーで印刷できるようになっています。

また、生地の色がブラックなどの濃色に対応するプリンターの場合は、ホワイトのインクも積んでいます。

Tシャツプリンターのメリット

  • 1枚からTシャツのプリントができる
  • カラフルな写真やイラスト、細かいデザインでも再現可能。
  • デザインデータがあり、機械の準備ができた状態からなら数分で印刷できる。
    慣れれば、本当にコピー用紙に印刷するぐらいのノリで作れます。
  • 白のTシャツにはインクが染み込むような風合いで仕上がりはとてもなめらかです。

Tシャツプリンターのデメリット

  • 日々のメンテナンスが必要(使用頻度が低いと調子が悪くなりやすい)
  • 年間の保守コストがかかる(安くないです。)
  • ホワイトインクを使う濃色生地の場合インクコストが高い
  • 蛍光色・金・銀などの特殊なカラーは印刷できない
  • 白インクを引く濃色生地の場合、インク層が分厚くなるため仕上がりは少し重たくなります。

私は、エプソン社のF2000とコーニット社のPolyProを使ってきましたので、その2機種のメリット・デメリットも書いていきます。同じダイレクトインクジェットプリンターですが、コーニットのPolyProに関しては構造が大きく異なっているので、2機種についてもお知らせしたいと思います。

エプソンのF2000に関しては国内から販売されているTシャツプリンターのほとんどに通ずる内容だと思って問題ありません。
ただメーカーによってカラーの出方が違いますので、どんなTシャツを作りたいかによって外注先や導入の機種を決めるのが良いと思います。
私個人カラー傾向では、エプソンは淡い色階調(人の肌など)がキレイ。ブラザーは濃い色もクッキリと出せる印象です。

F2000のメリット

  • 白Tシャツのプリントは本当に簡単。デザインデータをプリンターに送って、生地をセットしたらボタンを押すだけ。
  • カラーだけならインクコストはかなり安い。

F2000のデメリット

  • 濃い生地に印刷するための前処理に時間がかかる
  • 前処理跡が残る(洗濯すれば取れるのですが、気にされるお客様はいます。。。)
  • 前処理がキレイにできないと印刷はキレイにできない。少しコツが必要になります。
  • ポリエステルには向かない(生産性や品質の問題で実用レベルではない)

PolyProのメリット

  • 前処理が自動(プリンターの内部に搭載されています。)
  • 生産性が非常に高い。実測で1h 40〜60枚
  • ポリエステル完全対応(発色・伸縮性・耐久性が抜群にいい)

POLYProのデメリット

  • 導入費用コストが莫大
  • 設置する場所、入り口が必要(本体がタテ・ヨコ2.5mぐらいあります。)
  • 白生地でもホワイトのインクを引かないとにじむ。
  • トラブルは正直少なくないです。

PolyProに関しては、別記事も書いてますので、ご参考ください。

【必見!】ドライTシャツにダイレクトインクジェットプリント

Tシャツプリンター総括

私がはじめてダイレクトインクジェットプリンターの存在を知ったときには「これがあれば、なんでも作れるやん!」ぐらいに感動しました。メーカーさんの動画など見ると本当に魅力的で、「フルカラー = どんな色でも対応可能」みたいに考えていたんですよね。

ただ、実際には各メーカーによって色の出方も違いますし、インクが突然詰まってメンテナンスにすごい時間がかかったり、滲んだり簡単ではありません。

素材が変われば厚みによって高さの調整が必要になったり、素材のシワがない状態にしなければならなかったり、いろんな素材に対応しようと思うとノウハウが必要です。
プリンターの印刷面を安定させるために、アクリル板を加工して生地をセットするための治具を作ったりもしました。

また、プリンターだけでは完成させることができませんので、熱で固めるたの設備が必要になります。ヒートプレス機や、コンベア式の乾燥機といったものです。そういった機械もそれなりに費用がかかってきます。

色々大変なことばかり書きましたが、私はプリンターが大好きなので、Tシャツプリンターも好きです。デザインしているものが、ものの数分で印刷されるさまは感動します。白Tシャツばかり作る人には、めちゃくちゃコスパが高い投資だと思います。(私の場合はほぼ、カラーTシャツですが。)

Tシャツプリンターに興味を持った方や、フルカラーのTシャツを作りたいと思って読んでくれた方はチャレンジしてみるのもいいと思います。苦労しながらも満足のいくものが作れることが ものづくりの醍醐味ですよね。

印刷が上手くいかず外部に依頼しようと思った際にはぜひご相談ください。アートワークスは激安店ではないですが、とにかく高画質に出力することにこだわって設備選びと印刷設定を行なっております。ちょっとぐらい効率を落としたって「めっちゃ印刷キレイ!」って思っていただけることに全力を注いでおります。
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